( Scotland, Golfers at the 19th hole, c.1890 )

   
【ミニ・ゴルフの起源について 】

 本物のゴルフの起源については諸説があるものの、歴史が浅いミニ・ゴルフの始まりは明瞭です。

すなわち1867年に、ゴルフ場として名高い英国・スコットランドのセント・アンドリュースにおいて、クラブ所属の男性会員が、本物のゴルフ・コースで女性達が遊技しだすのを嫌がり、パター・ゴルフ(本物のゴルフからパット部分を取り出したもの)を女性達のために考案したとのことで、これがミニ・ゴルフの起源と言われております。
ちなみに、同クラブに女性会員が誕生したのは、それから 148年後の 2015年です。

 このパター・ゴルフは、その後 英国のみならず英国連邦、欧米各国等にも広がって行き、関連のインターネット・サイトhttp://www.miniaturegolfer.com 等を見ると、現在では世界各地に非常に多くのミニ・ゴルフ場があることが分かります。
 中でも、英国と米国に多数あり、次いでカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、フランス、ベルギー、アイルランド、ギリシャ、スペイン、オランダ、南アフリカ、メキシコ・・・等と、世界各国に広がっています。
 また、ミニ・ゴルフの種類も幾つか有って、英国で 「パティング(Putting)」 と称されるものが日本で言うパター・ゴルフであり、下の写真の如く芝生を刈り込んだ専用のゴルフ・コースが公園等に造成されています。


     ( 英国 ロンドン市内 ・ Gunnersbury Park )

 しかし、芝生の維持管理には少なからぬ経費が掛かることから、この種のパター・ゴルフ場は次第に数が少なくなっており、 人工芝や舗装材などの各種素材を使い且つゴルフ・コースの途中に様々な障害物を設けたゴルフ場が造られています。 (下の写真2枚)
 これら写真に示される複雑な形状の人工ミニ・ゴルフ場は、英国では「クレイジー・ゴルフ(Crazy Golf)」と言われ、極めて一般的であり人気があります。

      ( 英国 ロンドン近郊・ Wimbledon Park )

      ( 英国 ロンドン郊外・ Motspur Park )
 都立辰巳の森海浜公園などにある人工芝の上に障害物を配したパター・ゴルフ場も、英国ではクレイジー・ゴルフ場に分類されるものであり、多額の建設費が掛かるものの、その後の維持管理費が天然芝に比べて少なくてすむので、欧米各地にも多数建設されています。

 また、芝生の維持管理が難しい海岸や観光リゾート地での歴史は古く、クレイジー・ゴルフ場でコース周囲に様々な景観や彫像等の装飾を配したものは、「アドベンチャー・ゴルフ(Adventure Golf) 」と呼ばれています。

 また、各ホールの距離が百ヤード以内に制限された天然芝のコースをパターとピッチィング・ウェッジのみで回るミニ・ゴルフは、英国やアイルランド等で「ピッチ・アンド・パット(Pitch and Putt)] と呼ばれて盛んに遊技されており、下の写真のごとくロンドン市内の公園などにもコースが設置されています。   

       ( 英国 ロンドン市内 ・ Gunnersbury Park )
 以上は、本物のゴルフ・クラブとボールを使うものであるが、これ以外にもプラスチック製ゴルフ用具等で子供向けに開発されたものとして、「トライ・ゴルフ(Try Golf)」や米国発の「スナッグ・ゴルフ(Snag Golf)」などがあります。

 なお、日本国内で多くの愛好者がいるグラウンドゴルフ、パークゴルフ、マレットゴルフ等の各種ミニ・ゴルフは、英国や欧州等では 殆ど知られていないのが現状です。


【 日本のミニ・ゴルフ概要 】
 
ミニ・ゴルフ には色々あるが、日本で考案され遊技されているものは以下のようなものです。
            ( 詳細 は、ゴルフ名の白文字をクリック下さい。)

@ 「マレットゴルフ」は、日本各地で盛んに遊技されていたゲートボール(西欧で大流行したクロッケーを元に、1947年に鈴木和伸氏が考案) の用具を利用し、福井市運動公園指導普及課の職員が1977年に考案したもので、日本の各種ミニ・ゴルフのはしりと言えます。
1981年以降は長野県体育センターの専門主事らによって、長野県下を手始めとして各地に普及されました。

A 「グラウンドゴルフ」は、1982年に鳥取県泊村の教育委員会が「町おこし」のために考案したものであり、今ではゲートボールに代わって、年配者達の花形スポーツになっております。
 専用のゴルフ場が全国各地に多数つくられ、愛好者数が約150万人いると言われております。

B 「パークゴルフ」は、1983年に北海道の幕別町教育委員会が前項のグラウンドゴルフを参考に考案したものであり、北海道を中心に愛好者数が百万人に達して、専用のゴルフ場が全国に約1千箇所も有るとのことです。

C 「ターゲット・バードゴルフ」は、1968年頃に埼玉県の野嶋孝重氏がゴルフ練習用に考案して1985年頃全国に普及し始めたものです。 本物のゴルフ・クラブのピッチィング・ウェッジを使用し、バトミントンの羽に良く似た形をした飛ばないボールを、雨傘を逆さに拡 げた形状のセッティングホールに入れて行くミニ・ゴルフで、愛好者が全国に約1万5千人いるとのことです。

 現在、これらミニ・ゴルフが日本各地で愛好されている主な理由は、ゴルフが「如何に少ない打数でボールを穴に入れていくかを競う分かりやすいゲーム」であり、且つ「個人競技」なので老若男女が、一人でも気軽に参加できることだと考えられます。
 
  ( 英国 スコットランド・Scalpay島 ガーデンゴルフ・コース )
ガーデンゴルフ を考案した経緯 】

 日本で考案された上記ミニ・ゴルフのいずれもが、30年以上の歴史を持ち日本国内に多くの愛好者がいるにも拘わらず、海外では一部の国でしか遊技されていない要因は、
(1)用具が入手しにくく高価であること、
(2)ミニ・ゴルフ場の整備等に、経費が掛かること、
 などが考えられました。

 そこで、ガーデンゴルフを考案する際しては、世界各国で安く容易に入手できる物 を ゴルフ用具とするべく思考を重ねました。
 その結果、ガーデンゴルフのボールにはビリヤードの球を、ゴルフ・カップにはプラスチック製の植木鉢を、ゴルフ・クラブには 柄を長くした頭がゴム製のハンマー(大工道具)を活用しました。
これらのゴルフ用具を用いることによって、ガーデンゴルフは特別なゴルフ場など造らずに、自然の地形のままの庭や広場など狭い場所でも遊技できるようになりました。

 9ホールのガーデンゴルフ・コース(合計距離が100m前後で、面積が500〜800平米)の設置には、一般の人々がコース内に出入りしてもゴルフ遊技に何の支障も無いため、既存の公園施設・利用を生かしたままコースの造成が可能です。
 ゴルフ・コースの維持管理費等も特に必要ないので、他のスポーツに比べて非常に僅かな経費
全てが賄えられます。
 これらのことに鑑み、上記アイデアを公文書として世界に公開するべくガーデンゴルフに関する特許
特開2005-87698・ガーデンゴルフ場 )を、2003年に出願しました。

                ガーデンゴルフの 動画 は こちらをご覧下さい。


 
   ( 都立日比谷公園、特設ガーデンゴルフ・コース )
【ガーデンゴルフの展望 】

 ガーデンゴルフは当初から将来の海外展開も念頭においていたことから、東京都公園協会や外務省などの協力を得ながら、その普及活動を極めて慎重に進めて来ました。
  その過程で、ニュースポーツの中核である都立辰巳の森海浜公園(1993年開園)で、ガーデンゴルフが他のニュースポーツに比べて人気が高いことが実証され、2010年1月に下の写真に示されるガーデンゴルフ・コースが、8番目の常設のスポーツ施設になりました。
   (用具貸し出し料:一時間150円

 また、2005年秋から外務省の支援でASEAN・10ケ国の年1回の催し(ASEAN Family Day)で実施しているガーデンゴルフ大会でも人々の関心を集めており、欧米に比べてゴルフに対する馴染みが無い国々においても、普及する可能性は大きいと思われます。

 2009年夏には、ゴルフの歴史が長い英国・スコットランドのScalpay島に、ガーデンゴルフ・コースを造成しましたが、英国人のみならず同島を訪れた欧州の人々にも大変好評であって、今後の海外展開における大きな一里塚となりました。 
 この常設コース(9ホール、PAR 36)は、使用開始して6年経過した現在(2015年夏) 熱烈な愛好者がおり、ゴルフ文化のある英国でガーデンゴルフが根付く可能性は極めて大きいと実感しております。

 今後は、上記の都立辰巳の森海浜公園などを核にして、大会の開催実績が最も多い都立日比谷公園などでも無料講習会等を実施しながら指導者を養成し、公園の新しい活用方法を国内外に紹介して行きたいと考えております。
 また、平成25年秋に東京都で開催された第68回国民体育大会 (スポーツ祭東京2013) において、ガーデンゴルフが デモンストレーション競技 として実施されたおかげで認知度が上がり、愛好者が増えつつあります。

                            競技結果 は こちらをご覧下さい。
                 


    ( 都立辰巳の森海浜公園 、常設ガーデンゴルフ・コース )
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